(※この記事は、2023年5月16日に更新されました。)
「ピッチ」という言葉はいろいろな意味を含んでいますが、ビジネスシーンで「ピッチ」と使われる場合は、プレゼンテーションより短い時間で端的な説明を行う事や、その催し自体を指す場合が多いです。
ですので、「ピッチイベント」は多くの人が集まって、ピッチを行うイベントということになります。
こちらの記事をご覧になっているということは、何かしらピッチイベントに関わる業務を任されたり、「ピッチって周りの人がよく言ってるけど何なんだろう。」と思って調べてみた方かもしれませんね。
当記事ではピッチイベントの概要から、ビジネスシーンでの役割まで解説しておりますので、さらっと知識を得ていきましょう。
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目次
ピッチイベントとは?ビジネスシーンでの役割はどんなもの?
「ピッチ」は米国シリコンバレーで発祥した言葉

ビジネスシーンで「ピッチ」という言葉が使われるようになった経緯としては、米国シリコンバレーで発祥した「エレベーターピッチ」の略からピッチに転じたと言われています。
「エレベーターピッチ」とは、エレベーターに乗ってから降りるまでの短い時間内で完結するような、要点を押さえたプレゼンの事です。
もちろん、実際はそんな極端に短い時間ではありません。
みなさんが想像するものと同じく、ピッチデック(Pitch Deck)と呼ばれるスライドを使って、会社概要や事業計画などを解説するやり方がほとんどです。
通常のプレゼンテーション(プレゼン)が30~60分くらいだとすれば、ピッチはそれよりも短く、最短1分程度のものもあれば長くて20分程度で、そこはピッチイベントのルールによって異なります。
ピッチイベントの役割は投資を募る&認知度向上
IT業界やスタートアップ企業向けにピッチイベントが行われています。一般的なピッチイベントは、資本がないスタートアップ企業が投資を募ったり、認知度向上を目的に行われるものです。
投資をしてもらうなら、長い時間でしっかりと説明をした方が良いんじゃないか。と思ってしまいますが、業界の専門的な話をその分野に触れたことがない人へ説明しても、あまり受け入れられません。
短い時間でわかりやすく要点を伝える技術は、難易度の高い作業です。ただ、それはビジネスマンが営業するにあたって必要なスキルにも思えます。
投資家からすると、投資先の企業を選別する際に多くの企業が端的に要点を伝えてくれる方が、興味のある企業にアプローチして「もっと詳しく話を聞きたい」と思うのかもしれませんね。
ピッチコンテストとの違いは?
ピッチイベントとピッチコンテストにはどのような違いがあるのでしょうか?
ピッチイベントは、スタートアップ企業や起業家が集まって自身の新規事業のアイデアについてプレゼンテーションを行う場です。
一方で、コンテスト形式で一番優れている事業計画のプレゼンテーションを決めることが目的のピッチイベントについては、「ピッチコンテスト」と呼ばれています。
通常、大企業や投資家が審査員となり事業計画を評価しピッチコンテストで優勝したチームには投資や賞金、経営サポートなどが送られます。
そのため、ピッチコンテストはスタートアップ企業や起業家にとって資金調達のチャンスなのです。
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ピッチイベントを主催する目的は?

1. オープンイノベーションを生むために、人の繋がりを増やす
前章でピッチイベントの目的は、投資を募ったり、企業の認知度の向上とお伝えしました。
それから視野をさらに広げれば、「人の繋がりを創出する場」としての役割があります。
資本がない企業と投資家をつなぐビジネスマッチングを行ったり、技術やアイデアがあるスタートアップ企業と資本やノウハウを持つ大企業のビジネスマッチングをさせるなど、オープンイノベーションを生む機会を提供しているのです。
よく言われるのが、大企業は資本力があるけどスピードが遅く、ニッチな分野には弱い。
逆にスタートアップ企業のような小規模で身軽な企業だと意思決定も早く、大企業がやらないようなニッチな分野が得意です。
双方の弱点を補完できれば、新しいサービスが誕生しやすくなります。
日本はベンチャー企業へのサポートや投資の文化が無いと言われてきましたが、このようなピッチイベントを通じて、スムーズにベンチャー企業が成長できる仕組みが確立されるといいですね。
2. 民間企業や官公庁がピッチイベントを通してベンチャー企業&起業サポートの役割
民間の大企業が主催しているピッチイベントは、スタートアップ企業と呼ばれるベンチャー企業との繋がりや、大企業が持っていない切り口でのビジネス展開を模索する目的であることが多いです。
また、顧客獲得のためにピッチイベントを開催する企業もあります。
官公庁の場合は、長い目で見れば税収アップや雇用の創出という目的もあると思いますが、日本企業の国際競争力の強化を目的としていることもあるでしょう。
昨今は、政府が予算を割いてベンチャー企業へのサポートを拡充していく方針であり、地方自治体でも起業サポートやピッチイベントが行われています。
有名なピッチイベントの開催事例
1. Morning Pitch

デロイトトーマツベンチャーサポート株式会社と野村證券株式会社が主催しているMorning Pitchは、2013年の1月に始動すると、これまで述べ1900社以上の企業が登壇してピッチを行ったそうです。
毎週木曜日の朝7時から開催されているようなので、聴衆も相当な熱量だと見受けられます。
過去の実績としては登壇後にIPO(新規上場)した企業は50社以上にのぼり、日本を代表する名だたる大企業が参加して、ベンチャー企業を発掘するために目を光らせています。
朝7時開催にもかかわらず各回ごとに200~300名の聴衆が集まるようで、日本を代表するピッチイベントの一つですね。
2. Keidanren Inovation Crossing(KIX)

言わずと知れた経団連が2019年から主催するピッチイベントです。
22年6月8日の第10回では、スタートアップ企業および大企業から総勢70名が参加したとの事です。
コロナ禍の2020年はオンラインで実施したようですが、直近の第10回では東京・大手町の経団連会館で開催され対面でのリアルイベントとなっています。
交流や商談の場としてはもちろん、経団連のピッチイベントに参加したというだけでも、箔がつく感じがしますね。
3. HVC KYOTO

2016年に始動したHVC KYOTOは、日本貿易振興機構・京都府・京都市・京都大学などと共に企画運営しているヘルスケア分野に特化した英語ピッチイベントです。
国際色豊かなピッチイベントで、22年7月に開催された7回目の当イベントでは、7カ国23社から選抜されたファイナリストが登壇したとの事で、当該分野ではハイクラスなピッチイベントとなっています。
これからは東京だけでなく、全国でもこのような特色あるピッチイベントが増えていくかもしれません。
ピッチイベントの開催方法は?

ここでは、ピッチイベントの開催方法についてご紹介いたします。
1. ピッチイベントの目的設定
目的やテーマの例としては、
・「福岡県内で事業を展開予定である」などの地域を限定したもの
・特定の産業(医療、金融、教育など)をテーマにしたもの
・SDGsなどの国際的な目標達成を目的にしたもの
などが挙げられます。
2. 日程や会場を決める
次にピッチイベントの日程と会場を決めましょう。
会場は、プレゼンテーションを行うのに適切かどうかを見ます。
一方で、オンラインやハイブリッド開催にすることも可能です。
その場合は、どのプラットフォームを使ってピッチイベントを配信するか、ネット回線、マイクなど必要な機材を確認しましょう。
企画書の書き方については、「イベント企画書の書き方|構成と押さえるべき8つのポイント」をご覧ください。
3. 審査員の選定
テーマに合ったサービスを提供している企業や、同じ産業の民間企業、大企業、専門家そして投資家などを探して審査員を依頼します。
コンテストでない場合でもフィードバックができる審査員がいると参加者に有意義なイベントを提供することができるでしょう。
4. 参加するスタートアップ企業や起業家の募集
オンラインでプラットフォームを作成し、起業家やスタートアップにピッチイベントの参加を呼びかけましょう。
参加フォームでは、応募者の情報やプレゼンテーションの概要などを送ってもらうと参加者を選定しやすくなります。
5. ピッチイベントの準備
イベントの進行表、パンフレット、プレゼンテーションのセッティング、リハーサルなどをイベント当日までに完了させましょう。
この記事「集客できるイベントチラシの作り方!テンプレートや載せる内容を紹介」もおすすめです。
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ピッチイベントの定期開催は一つのキーポイント

代表的な上記のピッチイベントを見ても、毎週あるいは数ヶ月単位で定期的に開催しています。
継続的にイベントを開催することで、参加者側としてもイベントの存在を知ってから「次回イベントはスケジュール的に難しいけど、その次には参加できるように準備しよう」と計画を立てやすいはずです。
また、どのような準備が効果的なのか、情報を求めて過去の登壇者を尋ねる企業もいるかもしれません。イベント内だけでなく、ピッチに登壇したということで、外での繋がりが増えることも考えられます。
どうしてもイベントというのは、単発で繋がりが途絶えてしまいがちです。過去の登壇者でも、この企業とマッチングすればイノベーションが生まれそう。という主催者側が仲人的な立場でサポートできれば、もっと繋がりを増やせますね。
もし、長期的なコミュニティを形成してピッチイベントを運営していきたいと考えるなら、Doorkeeperに代表されるイベント管理システムを活用するのがオススメです。
過去の登壇者とのコミュニティも作りながら、メッセージのやり取りや、イベント運営までスムーズに繋がりを構築してオープンイノベーションを起こしていきましょう。
まとめ
短い時間で端的に要点をまとめるピッチイベントは、オープンイノベーションを起こし、日本経済を再興する種のような存在です。
種を育てるには、良質な土壌だけでなく水や光が必要となります。
主催者や登壇者、聴衆として参加する投資家や関係者の方がそれぞれ繋がることで、スタートアップの種が立派に育つ可能性は高まるでしょう。
定期的なイベント開催やそれに係る事務作業など、主催者としては簡単ではありませんが、Doorkeeperのようなイベント管理システムを上手に活用すれば、メッセージのやり取りや当日の入場をQRコードでチェックインできるなど、イベント運営を効率化できます。
