参加者にとって本当に役に立つセミナーを運営するマジセミは、セミナー開催によってクライアントの見込み客を獲得するという、いわばセミナー運営のプロ。代表の寺田さんにマジセミ立ち上げから今後の展望まで、お話を伺いました。
IT系中小企業に足りないものはマーケティング
子供の頃からパソコンが大好きで、プログラマになることを夢見ていたという寺田さんは、ITの会社に就職。しかし、人気の職業だったエンジニアが、いつからか辛く厳しい職業と言われるようになり、それを悲しく感じていたという寺田さん。下請け会社などで実際にプログラムを書いている人が報われない状況を変えたいと動き出しました。中小企業でも技術があれば活躍できるはず。自分が作ったコードが世の中でどう役に立っているかがわかれば、プログラマのモチベーションも上がるはず。だけど、「そこに足りていないのはマーケティングだ」と感じた寺田さんは、IT企業のマーケティングのお手伝いをするべくマジセミを立ち上げました。
前職で社内ベンチャーを立ち上げた際、セミナー開催を通じてお客さんと実際に会って話すことの重要性を感じていたため、マーケティングとしてセミナーを行うことにしたといいます。「セミナーの場に一緒にいたっていうだけで親近感が生まれたり、信頼が増したりとという効果がある」と、デジタルマーケティングでは得られないリアルのマーケティングのメリットを、マジセミでは最大限引き出します。
商品を売りたいクライアント。役立つ情報を得たいゲスト。
スポンサーになってくれるIT企業を「クライアント」、イベント参加者を「ゲスト」と呼ぶマジセミが、セミナー開催において最重要視していることは、ゲストにいかに役立つセミナーを提供できるか、そしてゲストにいかに喜んでもらえるか、ということ。そこで苦労するのが、セミナーの内容を企画する時。とにかく商品を売りたいというクライアントの意見ばかりを聞いていては、参加者は集まらず、いいセミナーにはなりません。そこで、ゲストはどういうことで困っているのかを考え、そこからゲストの役に立つであろう内容を検討し、クライアントと交渉するのですが、それが大変なのだそう。セミナーやイベントを企画する時は、自分が伝えたいことや言いたいことばかりを考えて、独りよがりな内容になりがちです。寺田さんは、「参加してほしい人の気持ちや問題点、課題を想像すると、どういうイベントをやったらいいか答えが出ると思います」と言い、常にゲストの立場に立つよう心がけているそうです。
クライアントの要望とのバランスを考慮しながらも、イベント参加者であるゲストに喜んでもらいたいというマジセミの想いは、イベントページにも表れています。イベントページでは、ゲストが抱える課題や問題を全面に出し、そのセミナーに行けばどんなメリットがあるのか、悩みがどう解決するのかが明確に書かれています。イベントのタイトルも同様に、「xxの紹介セミナー」というよく目にするような商品名が入ったタイトルは、マジセミのイベントでは見られません。クライアントが売りたい商品の名前さえも、イベントのタイトルにはほとんど書かないという徹底ぶりなのです。
ゲストが抱える課題を吸い上げる
ゲストが求めているイベントを企画するためには、彼らがどういうことで困っているかという想像力を働かせることが大切だそうです。マジセミコミュニティのメンバー数は10,000人を超えていますが、寺田さん自身もイベント会場に足を運び、参加者と話をすることで、彼らのことを理解する努力をしているといいます。また、「ユーザーイベント会議」という課題を吸い上げるためのイベントも開催。各回テーマを決めて、5人〜10人に集まってもらい、それぞれの課題などの情報交換をすることで課題を吸い上げ、メンバー同士が交流できる場を提供しています。
コミュニティは、同じ考えや方向性を持った人が集まることで作られていきます。コミュニティが目指す方向は様々ありますが、マジセミが、今、目指すのはコミュニティのメンバー同士、イベントに参加した人や参加できなかった人も含めて、活発に情報交換ができるコミュニティ。それこそがコミュニティの成長だという寺田さんとマジセミが、それをどう実現していくのかが楽しみですね。
マジセミセミナーを支える「企画」「キャスト」「事務局」
ところで、常に複数のセミナーが開催されているマジセミでは、一体どのようにイベントを運営・管理しているのかが気になります。寺田さんによると、最近はTrelloを使っているとのこと。1セミナー1カードを作り、「公開前」「募集中」「終了後」とステータスごとにカードを移動させることで、全体を見えるようにしたそうです。また、セミナーの内容は「企画」が考え、セミナー当日は「キャスト」が対応、そして「事務局」がDoorkeeperで管理をする、と大きく3つに分けて担当者がいるとか。
「企画」に求められることは上で書いたとおりですが、セミナー当日の進行などを担当する「キャスト」には、おもてなしやゲストを巻き込む力が期待されるそう。例えば、セミナーでの質疑応答でなかなか手が挙がらないのは、よく見られる光景。でも、マジセミのセミナーではキャストがしっかり場の雰囲気を作ることで、30分間の質疑応答でも手を挙げて発言してくれる参加者が増えてきているといいます。
2014年7月からDoorkeeperを使い続けてくれているマジセミが、セミナー運営で使うプラットフォームを選ぶ上で必要だったのは、「コミュニティを作れる機能」だったといいます。コミュニティメンバーに連絡が取りやすいDoorkeeperを今でも活用してくださっているのは、マジセミが目指すコミュニティが、Doorkeeperが考える理想のコミュニティ像と合致しているからなのかもしれません。
セミナー開催のプロとしてマジセミが実践していることや心構えなどを伺いましたが、いかがでしたか?皆さんもぜひ、参加者が喜ぶイベントを開催してみてくださいね。