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JAWS DAYS 2019実行委員長が語る。「満漢全席」の圧倒的なコンテンツはこうして作られた。

吉江 瞬さん
Security-JAWSX-Tech JAWSの主催者
JAWS DAYS 2019の実行委員長

JAWS-UGは、AWS(Amazon Web Services)が提供するクラウドコンピューティングの日本のユーザーコミュニティ。2010年に発足し、今では全国に70以上の支部があります。その中のセキュリティ専門支部であるSecurity-JAWS、そしてFinTech(金融)に限らず、保険やヘルスケア、医療、教育など幅広い業界のAWS利用企業をつなぐX-Tech JAWSを主催する吉江さんにお話を聞きました。

コミュニティの参加者から主催者に

普段、セキュリティ関係の仕事をしている吉江さんがJAWS-UGと初めて関わりを持ったのは、2013年3月15日・16日に開催されたJAWS DAYS 2013。クラウド向けのセキュリティサービスのセッションが気になり、参加者として参加しました。「自分で調べたり手を動かすだけでなく、コミュニティで他の参加者と交流するほうが、より新しい情報を仕入れられるし、刺激がある」と感じた吉江さんは、それから毎年JAWS DAYSに参加するように。

そして2016年。同じセキュリティ関係者と数名で集まり、JAWS-UGのセキュリティ支部となるSecurity-JAWSを立ち上げることになります。 翌年2017年、吉江さんはX-Tech(エックステック)JAWSも立ち上げます。きっかけは、普段のセキュリティの仕事で関わりがあった保険やヘルスケア、Eコマース、流通など他業界の人が、今後クラウドをどう使っていくかという動向がすごく気になったこと。そしてスタートアップによって新しいサービスの形態が次々に生み出されていることを知り、そんな人を応援したい、そういう人にメディアなどに出てもらい世の中の刺激になってほしい、と思ったことでした。

JAWS DAYS 2019の実行委員長に

Security-JAWSとX-Tech JAWSのコミュニティ運営をおもしろいと感じていたところ、X-Techの枠が3枠設けられたJAWS DAYS 2018のX-Techセッションオーナーをやらないかと声がかかりました。とはいえ、この時点でX-Tech JAWSで開催したイベントは1回だけ。ビジネスとAWSの話を織り交ぜて話ができる人を見つけるが大変だったそうですが、最終的にはサーバレス太陽光発電サービスを提供している会社言語処理を使った英会話サービスの会社お菓子のサブスクリプション・サービスをやっている会社など、おもしろい人たちが集まってくれました。

これまでのJAWS-UGコミュニティへの貢献から、JAWS DAYS 2019で実行委員を務めることになった時、吉江さんは今まで一緒にコミュニティ活動をしたことがない他のJAWS-UG支部のメンバーを引き入れました。「仕事もそうですけど、ずっと同じ人とやっているとマンネリ化するじゃないですか。新しいアイディアを遠慮なく話し合える人達とやりたいなと思って、一緒にやってみたいと思った他支部のメンバー何人かに声をかけました。」 少しずつ動き出した2018年8月、吉江さんは実行委員長に任命されます。「やるならやるで、すげえいいもん作りたい」と、2月23日の開催日までの約半年間、過去最高のJAWS DAYSを作るために吉江さんは走り出します。

「満漢全席」というテーマに込められた想い

「満州族の料理と漢族の料理から選りすぐりを揃え、贅の限りを尽くした100種類以上の料理を数日間かけて食べる」という意味の「満漢全席」をテーマに掲げたJAWS DAYS 2019。準備を進める吉江さんが、まず最初にしたことは104セッションが組まれたタイムテーブルの公開でした。「『満漢全席』のように一週間ぐらいかけて高級料理を食べていくぐらいのボリューム感を出さないと」と考えたそうですが、1日で104のセッションはすさまじい数。それを実現し、参加者やサポーター企業に満足してもらうためにすべき仕事は山ほどありました。

JAWS-UGの焼印入りどら焼きや「鮫出没注意」ステッカーの製作。過去最高のお弁当の手配や会場裏の駐車場に設置するキッチンカー。物欲や食欲を満たす仕掛けのほか、当日の人の流れをどう制御するか、セッション参加者が使うレシーバーの回収方法を考え、オープンマイクのショートセッションを企画し、ハンズオンでWifiが切れないように、などなど、前年の課題を洗い出し、運営面でも数え切れない改善や工夫をしました。

「みんなを圧倒すること」をコンセプトに、参加者を満足させるアイディアを考えるだけでなく、マネジメントについても考え抜いたという吉江さん。「顧客って誰だろうと考えた時に参加者だけじゃなくて、お金を出してくれるサポーターさんも顧客だし、JAWS DAYSを後援してくれているアマゾン・ウェブサービス・ジャパンももちろん顧客だと思った。圧巻なJAWS DAYSを実現することで、参加した人の心にインパクトを残して、アマゾンさんが来年もJAWS DAYSに投資しようと思ってもらえるようにしたかった。サポーターさんが来年も参加しようとか、次は登壇者として参加しようというふうに思ってもらえるように」と、サポーター企業に対するおもてなしも抜かりなく、全サポーター企業のロゴや企業名を入れたTシャツやパネル、各サポーター企業のフラッグも作り、顧客の満足を追求しました。

過去最高のイベントを作るために奔走した原動力

JAWS DAYS 2019開催後、イベントの裏側について話をするために「JAWS-UG」「JAWS DAYS」「JAWS DAYS 2019」のハッシュタグが付いたツイートをすべてチェックした吉江さんが見たのは、総じて素晴らしい評価のコメントでした。吉江さん自身のことはもちろん、「イベント参加後にアウトプットをしてください」との呼びかけにしっかり呼応して、SNSで感想や考えを書いている人がとても多かったことからも、JAWS DAYS 2019がいかに参加者の心にインパクトを残したかがわかります。

「実行委員長を引き受けた時、アマゾン・ウェブサービス・ジャパンの予算も聞いていました。こんなお金を使って、しょぼいJAWS DAYSを作ってしまったら、えらいことになるな、と思ったんです(笑)自分でも予想できない未来を背負うことになってしまったけど、やるからにはそれに向き合わないとと思ったし、真剣にならざるを得なかった」と言う吉江さん。多くの人の期待と責任を背負った吉江さんを支えたのは、一緒に実行委員を務めた信頼を置けるメンバー、相談に乗ってくれた友人、そしてAWSの担当者たちだったそう。「彼らには感謝しかない」と言う吉江さんの言葉には、2,000人規模のイベントを成功させる大変さを感じさせられます。

いいコミュニティとして成長するために

Security-JAWSとX-Tech JAWSでは、それぞれ3ヶ月に一度必ずイベントが開催されます。一回だけイベントを開催して終わるコミュニティもあるからこそ、継続していくことが大事。また、そのためには継続していこうと思えるコンテンツを用意しないといけないと、吉江さんは言います。「未だにそんな話をするの?」などと思われると、人は集まりません。マンネリ化せず、新しいことをするように心がけるべきだそう。かくいう吉江さん主催のX-Tech JAWSでは、「鳥取の魚市場でそこの漁港で上がった魚を三枚おろしにして東京に配送してくれるアプリを作った会社」や「メンヘラの女の子が彼氏に構ってほしくてAWS上で作ったサーバレスアプリケーションの話」など、「なんでそこの業種にオファーしたの?みたいな人」を呼ぶようにしているといいます。その結果、登壇者の話がメディアで話題となるなど、「世の中の刺激になってほしい」という吉江さんの想いが現実となっています。

新しくコミュニティをやってみるなら

「イベント当日までにしないといけないこと、当日すること、イベント終了後にすることを全部書き出して、それを最初から最後まで通して頭の中でやってみる」ことが、イベントがうまくいく秘訣だそうです。また、自分がそれに参加して楽しいと思えるかどうかという視点を忘れないことも大切。自分がされたら嫌だと感じる対応は、他の人もきっと嫌なはずだと心に留めておきたいものです。他のコミュニティをすでに運営している人なら、きっとすでにノウハウがあるので聞いてみるのもいいかもしれません。

今後は、Security-JAWSとは別のセキュリティの大きなカンファレンスをやってみたいと考えている吉江さん。JAWS DAYS 2019の次は、どんなイベントでみんなを圧倒してくれるのか、楽しみです。

吉江さんがJAWS DAYS 2019の裏側について話をした時に使った資料はこちらで、そしてコミュニティのマネジメントについて話をしたセッションの様子はこちらで読むことができます!

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