2016-07-25(月)
ポール・マクマホンはDoorkeeperの共同設立者であり、現在は同社代表を務めています。2010年9月からはTokyo Rubyist Meetupも主催しています。

今回のDoorkeeperの料金体系変更により、これまで無料だったサービスを有料でご利用いただくよう多くの皆さまにお願いすることになりました。最悪ですよね。かつて無料だったものにお金を払うなんて、決して嬉しいことではありません。それを知っていながら、なぜ今回の変更に至ったのか。その背景にある僕たちの考えを詳しく説明させてください。

まず最初にお伝えしたいことは、Doorkeeperはサービス継続のために必要な収益を十分に上げていなかったということです。Doorkeeperは、僕自身ともう一人の共同設立者であるミヒャエル、そしてパートタイムのサポートメンバーというごく少人数のチームで、少ないコストで動いています。前払いチケットの販売からいくらか収益を上げても、インフラやサポートなどにかかる必要経費、その上に自分たちの給料を支払うには決して十分ではなく、僕たちはDoorkeeperに関係のない仕事をこなすことでDoorkeeperを継続してきました。

当初、Doorkeeperはサイドプロジェクトとしてスタートしました。僕たちデベロッパーは、新しいものを作り出すことが好きですから。楽しさからDoorkeeperを作り始め、収益を上げることなどはあまり考えていませんでしたが、急速に大きく成長するDoorkeeperを見ていくうちに真剣に取り組むことを決めました。そして継続可能なビジネスとしてサービスを構築していけるようにと、僕たちはDoorkeeperを法人化したのです。

前払い制イベントのサービスを開始した時、そこから手数料を受け取り、収益を生み出していくことが無理のないビジネスモデルのように思えました。そしてその方法であれば、前払いサービスを利用しない他のイベントにかかるコストも補えるとも考え、前払い制イベントに関わるサービスの向上にも励みました。しかし結局のところ、それでは十分な収益を上げることができませんでした。

模索していくうち、Doorkeeperを使ってくれる主催者の大半は、そのイベントへの参加費で儲けようなどとは考えておらず、前払い制イベントを開催することにそれほど関心がないことに気がつきました。参加費が設定されていても、イベントで損失が出ない程度の少額のことがほとんどですから、前払い制イベントが開催されたとしても僕たちのもとに入る手数料はわずかな金額です。

前払い制イベントの手数料だけでDoorkeeperを継続可能なビジネスにするには、現在の10倍以上の前払いチケット販売数が必要で、とても今後2〜3年以内に実現できる数字だとは思えません。

そこで、Doorkeeperを無料のまま維持しながら収益を上げる別の方法を探しました。その中で、Doorkeeperで築いたイベント主催者と参加者の膨大なネットワークが何かビジネスにならないかと考えました。

複数の企業から、製品をプロモーションさせてもらう代わりにイベントをスポンサーするので、イベント主催者を紹介してほしいとの依頼もありました。しかし残念ながら、このような企業は自分たちの製品プロモーションをいかに安く実施するかということしか念頭になく、Doorkeeperのイベント主催者に対する敬意も感じられませんでした。それゆえ、イベント主催者への負担に見合うほど価値のある取引にはならない場合がほとんどでした。

イベント主催者と企業間でネットワークを提供するビジネスは不可能ではないとは思いますが、それはイベント運営プラットフォームの開発からかけ離れたものになってしまいます。Doorkeeperとはまったく異なり、さらに膨大な投資も必要になるようなビジネスですから、僕たちはあまりそこには関心を持っていません。

このような間接的な方法でなんとか収益を上げられる方法がないか、何通りものアイディアを検討しましたが、いつも同じ問題、つまり「イベント主催者が僕たちのお客様ではなくなってしまう」という問題に直面しました。これまでずっと僕たちが真剣に取り組んできたこと。それは主催者にとって何かベストか、ということ以外ありません。そして何よりもそれを最優先してきたことがDoorkeeperを成功に導いてきたと考えています。そして、だからこそ、僕たちはこれからもそれを変えるつもりはありません。

間接的な方法で収益を上げることができないなら、僕たちに残された方法は一つ。Doorkeeperの直接のお客様であるイベント主催者にご利用料をお支払いいただくことでした。この決定が、イベントで儲けようなどと考えておられない方や、コミュニティのためにイベントを開催している方にとって、決して納得のいかないことだということは十分に理解しています。しかし、主催者ご自身にDoorkeeperの運営費をご負担いただくことは、イベント主催者の気持ちに寄り添えない第三者の力を借りるよりも、最終的にはよりよいサービスに結びつくはずだと考えています。

有料サービスとなることで、僕たちが失う主催者の方がいることは覚悟しています。Doorkeeperをここまで導いてくれたすべての主催者の皆さま一人ひとりに心から感謝している僕たちとしては、それは本当に悲しく、やりきれない思いです。しかし、今後もDoorkeeperを前進させていくためには、今、この変更が必要なのです。多くの主催者の皆さまがこの現状を理解し、これからもサポートを続けてくださることを心から願っています。