Doorkeeper

14年間人気イベントであり続けるCSS Niteの妥協なきクオリティ

鷹野雅弘さん
CSS Niteの主催者

グラフィックデザインやウェブ制作の第一線で活躍を続けながら、年間120回以上の講演で全国を飛び回り、数多くの著書も持つ鷹野さん。2005年から主宰するウェブ制作者向けのイベント「CSS Nite」について、お話を聞きました。

始まりはアップルストア銀座

関連イベントも含めて今までに600回以上開催され、のべ7万人以上が参加したCSS Nite。その初回は、まだiPhoneが世に出ておらず、アップルの人気が今ほどではない2005年、アップルストア銀座3Fのシアターで実施されました。おもしろいイベントを開催して人に来てもらいたいと考えたアップルストアから声がかかった鷹野さんが考えたのは、当時大きな変革期を迎えていたCSSの勉強会。自分自身が話を聞いてみたい人を呼ぶという全3回のイベントでした。初回から多くの人が集まり、イベントの参加者同士が会社を超えてつながりを作れる勉強会が、とてもいい仕組みに思えたという鷹野さん。「これは続けたほうがいいなぁ」と感じたのはアップルストアも参加者も同じだったようで、3回の予定がなんと72回まで続きました。

使えるものは何でも使って集客

初回から人気を博したCSS Niteですが、「MACお宝鑑定団」をはじめとするメディアで掲載をしてもらえるよう働きかけたり、mixiを使ったりと、使えるものは全部使って初回のイベントの集客をしたそうです。また、初回からプロのカメラマンにイベントや講演者の写真を撮ってもらい、参加者や講演者のブログにイベントの様子を書いてもらいやすくすることで、2回目以降の集客につなげていきました。自分自身の講演者としての経験から、「かっこいい写真があると講演した人も、こんなの出たよってどこかで書いてくれたりするので。それが結構重要なことかなと思います。」

入場制限解消のため有料イベントに

CSS Niteの人気が高まるにつれ、84席しかないアップルストアのシアターには参加者が収まりきらなくなってきます。時には250人もの人が押し寄せてしまうこともあったため、参加希望者にはmixiで事前に参加表明をしてもらい入場制限をするように。それでも当日は長蛇の列で、並んだのに入れない人も大勢いました。「CSS Niteは、自分が行ったらどうかっていうことをむちゃくちゃ大事にしているんです。もし僕がそうやって並んだ後に今日は入れませんって言われたら、絶対もう二度と行くものかと思うと思うんです。なので、これをやってたら絶対滅亡すると思って」、鷹野さんは大きな会場を借りることを決め、その会場費を参加者に負担してもらうことに。無料イベントとしては収拾がつかなくなるほどの盛り上がりを実感していた参加者は、これを歓迎し、CSS Niteはさらに成長していきます。また、第1回目から公開していたスライドや音声を見聞きした大阪や名古屋、その他の地域の人から地元での開催を切望する声も届くようになり、その勢いは各地に広がっていきました。

イベントのクオリティコントロール

全国各地で開催される今も、当日に10〜15人の現場スタッフに手伝ってもらう以外のイベントの準備・運営は鷹野さんを含むごく少数ですべて行います。超少数精鋭で全体を俯瞰しつつ、細やかなところに目と配慮を配ることでクオリティにこだわるのは、「参加者のその1日は、返ってこないから。」会場の空調温度、マイク音の大きさ、スライドの見やすさなどをしっかりケアをして、改善できるところはする。登壇者のプレゼンまでもを含んで品質保証にこだわり、前回より今回、今回より次回をちょっとずつ良くすることで、継続して参加してくれる人が評価してくれると言います。

イベントの品質や評価は登壇者のプレゼンにも大きく左右されますが、自身が人気講演者でもある鷹野さんは、CSS Niteの「出演される方へ」のページプレゼン知恵袋でプレゼンをよくするためのノウハウを公開し、登壇者への「愛あるダメ出し」も惜しみません。スライドを作る前に、「来る人は誰か、前提条件としてどういうレベルなのか、その人に対してどこまで話すのか、どういう順番で話すのか」というシナリオをしっかり作り込むことが最重要で、シナリオがなければ、どれだけカッコいいスライドを作ってもダメだと言います。だから、CSS Niteの登壇者には、たとえそれがスポンサー企業であっても、必ずシナリオを提出してもらうそうです。

「マイクの使い方とかも、僕むっちゃうるさいので(笑)。聞きにくいとお客さんもストレス溜まるし、せっかくいいこと言ってても損だし。出てくれたからには、その人がすごいなって言われるのがイベントの成功なので、それに対して支援を惜しまないっていうか、黙ってられないんです(笑)」お話しぶりから、きっと厳しいダメ出しもあるのだと思います。でも、同時にそれは成長できるチャンス。鷹野さんからの「愛あるダメ出し」で、何人もの素晴らしい登壇者が生まれたであろうことが想像できます。

一つのテーマで複数の登壇者がいる場合、個々のプレゼンの出来栄えだけでなく、登壇者同士や会場の空気との一体感も大切。CSS Niteでは、登壇者全員のシナリオとスライドを事前に共有し、話す内容を登壇者同士で意識し合えるように。また、控え室を設けず、登壇者は必ず会場にいて他の人が話している内容やその時の会場の雰囲気、参加者の反応を感じてもらうようにしています。そうすることで、「自分の番が来た時にその空気をちゃんと拾える。前の人の話を引っ張ったり、現場でスライドを足したりできると、イベントとして一体感が出て、参加者の満足度も全然違う。準備段階と当日の相互作用が大事ですね。」

アンケート至上主義

CSS Niteでは、イベント終了時に紙のアンケートを回収、その日のうちにスキャンして登壇者に送ります。よくある「満足できた」の項目だと、「自分には難しかったけど、なんか楽しかった!」という感想の場合、正確な評価を得にくくなってしまうため、「理解できた」「楽しめた」「役に立った」の3つの項目を5段階で評価してもらいます。難しいセッションだったけど「役に立った」の評価が高かったら登壇者は嬉しいし、「わかったけど楽しくなかった」の評価はよくないな〜など、3つの評価軸で参考になる結果を得ることができるといいます。

イベント飽和状態の今、新しいコミュニティがすべきこと

いろんなイベントがあって、毎日行こうと思えば何かのイベントに行けてしまう昨今。そうなると大事なことは、「有料・無料を問わず、自分の時間を費やすのに値するイベントかどうか」ということだと鷹野さんは言います。「どんな人のどんな話を聞けるのか、自分が行くべきなのか、今聞かなきゃいけないことなのか」を、公開したイベントページでわかるようにしておかないと、「面白そうかもしれないけど、まぁいいか」となってしまいます。また、誰がそのコミュニティを主催しているのか、どんな想いでやっているのかがわかることも、参加意欲を促すためには大切。顔写真を出すことに抵抗がある人もいるかもしれませんが、なるべく知覚化するのがよさそうです。さらに、「電源はあるのかな?とか、地下鉄は何番出口かな?とか、自分が参加者だったら困ることや気になることを先回りして書いてあげるといいですね。」

先回りして書いておく。これは協賛企業を探す時も同じく大事なポイント。「どういうイベントなのか、どういう人が来ているか、どんな評価だったか」など、協賛企業が気になることはしっかり集計を取って聞かれる前に載せておいたり、継続的に報告をするとよさそうです。「Doorkeeper以外にも、過去のイベントセッションの個別ページやイベント終了後のレポートページがあることはすごく大事。そこをちゃんとやっていると協賛したい、応援したいっていうところが自然と出てくると思います。」

CSS Niteが続く限りは、Doorkeeperを使います

会場払いにするとドタキャンや不参加が増えてしまうことから、CSS Niteは基本的に事前決済。通常、銀行振込で支払いを受け付けた時に、一番大変でストレスが溜まるのが「この振込は誰のものか」の確認作業。申し込み時には記載がなかった会社名で振り込まれていたり、女性の場合は旧姓で振り込んだりすることもあり、相当な手間がかかる作業です。Doorkeeperには、銀行振込をした申込者が振込票の画像を送信、主催者がそれを確認してチケットを発行というフローがあるので、この手間はありません。Doorkeeperを活用してくれている鷹野さんは、この「画像を送信→確認」というフローを大変重宝しているそうです。

「ほかのサービスを渡り歩いてきましたが、細かい要望にも応えてくれるDoorkeeperがベストだと考えています。スマホでのチェックインコードの読み取りも、まったくストレスなく、200名程度であれば20分で受付完了できます。」と、Doorkeeperを熱心に活用くださっているようです。

第一線で手を動かし続けながら、CSS Niteや数々の講演を通してウェブ制作業界の成長に貢献し続けてきた鷹野さんのお話には、参考になることや学びが盛りだくさん。「CSS Niteで工夫していることやドキュメント類、告知ページでの文章など、よいと思うものは断りなく使ってくださってOKです!」とのことでしたので、ぜひ皆さんのコミュニティ作りの参考にしてくださいね。

撮影:イイダ マサユキ

Doorkeeperでは、申し込み機能、メンバー管理、出欠管理などイベントを主催するために役立つ機能を豊富に提供しています。

Doorkeeperでコミュニティやイベントを運営すれば、参加者の管理や受付、支払いの管理などがぐっと簡単になり、これまで手間や時間がかかっていた作業をスムーズに実行できます。よりよいイベントの運営のため、Doorkeeperを使ってみませんか?